君に、ありがとうございます。

好きなアイドルについて。

ノスタルジック。

神様のカルテ、見てきましたワー!ということで感想を。ネタバレしてますよ!ご注意です。あと鈴木らしく超感覚的に感想書いていますので雰囲気読みしてもらえればと思います。









一緒に見に行った母も言ってたけれど、とてもなだらかで、ゆるやかな、不思議な映画でした。


内容、というかストーリー自体っていうのはやりきれないことが探せばたくさんあると思う。でもそのやりきれないことの中にちりばめられている素敵な、リアルではないちょっとファンタジーな部分がすごく素敵。イチトがめんどくさそうだけれどかわいい愛すべき人なところや、そんなイチトにハルのような奥さんがいるところや、結婚しているのに御嶽荘に住んでいてそこに学士さんと男爵さんがいることや、アパートを桜満開に一晩でしちゃうところや、安曇さんの誕生日がきちんと晴れの日で皆で一緒に山並みを見れたことや。そういう些細な部分にこそぽろっと泣いちゃう映画でした。誰かが死んでしまうことはもちろんとっても悲しいし、イチトが自分の身を削ってひたすらに病院の中で人と向き合い消耗されていくのは想像すると苦しい。けれどもこの映画はそういう事にピントを合わせているわけではなくって、なんというか全体的にちょっとだけ甘ピンというか(笑)いやこんな書き方したら誤解すごい招きそうなんですが、なんかこう、全然疲れない映画だったんですよ。あんなにせつなくて、かわいくて、それでいてやっぱり人が死んでしまった悲しさ、どうしようもない環境のやるせなさもちゃんと存在する映画なのに、心がそれによって沈まなかったし疲れないし、それでも受け止めた感覚はあるし。それはピントがある箇所に集中しすぎていなくて、病院や、研修先や、イチトとハルの生活や御嶽荘でのこと、いろんなところにやさしいフォーカスがふんわりと合っていたからじゃないかなと思うのです。イチトの台詞「悲しむのは、苦手だ。」という事にクローズアップしすぎていないというか。それにごく普通の、淡々としたことを丁寧に、けれど詳細に濃密に、とは違った丁寧さで包んでくれているというか。チラシコピーにある、CMでも流れていたと思うんだけれど、「最後にこんなに幸せな時間が待っていたなんて。」というのも、そんなにドラマチックすぎることでもないんですよね実際。それでもこんなに穏やかに人の心をささいなやり取りの中で救えるんだ、ていう。救われるんだ、ていう部分だったり。泣かせ所って多分そこだろうなって予想していた、そんな場面では全然ないところでずーっとぽろぽろ泣いてしまう映画*1なんですよなんだか。嗚咽が漏れる号泣なんかじゃなくて。

私はとりあえずハンカチ片手に鑑賞し始めたくせに開始直後にそれを紛失、結局最後の最後まで見つからなかったという感じで見たんですが、涙は出てくるけれど鼻水はあんまでねぇな、みたいな(どんな表現)静かに静かに涙が滲んできて、せつないなぁ、悲しいなぁ、やるせないなぁ、素敵だなぁ、やさしい声だなぁ、素敵な夫婦だなぁ、2人ともかわいいなぁ、という感じでぽろぽろ泣けるのです。私にとっても涙だけすーっと出てくる感覚は結構初めてというか。

私がとくに涙したのは・・・御嶽荘!学士さんが故郷へ帰る、その場面はもう涙ばっかり出てしまいました。もう頬を伝って首を流れて、ワンピースおよびブラジャーまで濡れたわ!みたいな。何かが猛烈に悲しいとかさびしいとかではなくって、なんかこう、しみじみと。ていうか映像だけでもう泣けるんですよ。静かな静かな廊下から学士さんが庭へ出て、花びらの紙ふぶきがさんさんと降ってくる。その光景とか、最後に学士さんが、皆にお辞儀をしてね、たくさん背中に背負った荷物から、学士さんの黒い髪から、そこにつもっていた紙ふぶきがさぁっと落ちて。そこでなんかこう涙腺が壊れたんじゃないかぐらい淡々と涙が溢れてしまいました。せつないし、さびしいし、でもしょうがないし、皆かわいいし、みたいな。なんかこう、じわじわゆっくり胸にくるんですよね。


最後、イチトはやっぱり泣いてしまって、そこで人が死んでしまった悲しさが映画を包んでいくというよりも、なんというか「最初からずっと悲しさがくるんでいる」ような感覚があったんだな、って今思い出して気づいたりもしました。映画全体が悲しみに暮れているわけではないのだけれど、人が死んでしまう悲しさ、というのは最初からうっすらとこの映画を包んでいた気がするんですよね。けれどキャッチコピーであったように、「心は、きっと救える。」ていうとこに行き着いて。人は死んでしまうし、医者がやれることには限界があるし、問題だって山積みだし、努力した人間誰もが自分の夢をかなえられるかっていうとそうではないんだけれど、でもそれだけじゃないでしょう、というやわらかい悲しみ、人と人がやり取りしあうやさしさが暖かくそこにある物語、というか。最後の最後にもすごくかわいらしい最後が待ち構えていて。それもほんと超ファンタジーぽいんだけれど(笑)ひたすらかわいくて、素敵でした。静かに物語りに寄り添う音楽も素晴らしい。


あとね、この映画のユーモアもすごく絶妙で私は大好きです!一番最初のあの音楽なんなの?かわいいぞ!(あとこの最初の映像ってちょっと重たい入り口ぽいのに音楽+イチトと看護士さんとのやり取りによってユーモアがふんわり香ってくるような感じがとっても印象に残ってます、素敵だった!ていうかこのちょっとめんどくさいイチトくん、的な音楽最高、流れるたびにテンションあがった!笑)イチトの同僚への決め台詞も相当ほほえましいし、登場人物皆さんの雰囲気、見た目、空気がどことなくすごく昔のように思えつつ、そういうところが悲しみのポイントをちょっとだけぼかしている感じもしました。


翔さんのビジュアルは、映画で見てもほんとかわいかったです。公式フォトブックでも思ったけれど、やぼったさの中にちゃんと櫻井さんだからこそ成しえただろう美形な部分は絶対役立ってたと思う私は!*2とても具体的には表現されてはいないけれど過酷な労働環境にあるのだろうなーと想像できる中で映りこむイチトとしての翔さんの、瞳の大きさや睫の美しさ、小さすぎず大きすぎない身長やちゃんとしっかりある程度の厚みがある体格、そして不衛生にも見えない清潔感や淡々とだけれどちゃんと生命力がある感じも、櫻井さんの肌の質感や唇のふっくらした形などがちゃんと作用しているからじゃないかぶつぶつ、と思いましたハイ。


ということで1度見て結構私は満足してしまったのですが、ちょっとこれはほんと素敵な映画というか、すごくいい映画というか、映画らしくない映画というか、ほんと贅沢な物語をとても丁寧に形にされたな・・・というような妙な感想を持っている私です。イチトが愛すべき人として、映画館の中でも思わず笑いをこぼさせた事を、鈴木はこの場(ていうか自分のブログ)を借りてお伝えしたいぐらいです。誰にってもちろん、櫻井先輩にだよ!みたいな。ほんと素敵な映画だなーと思いました。翔さんが悩んで役作りしたのだということはインタビューやらあおいちゃんからの言葉などから聞いてはいたものの、そんなん全然感じなかったし、何よりほんとに私にとって先輩が演じたイチトはめんどくさい愛すべき人でした。出てくる人みんなかわいくて、そこも素晴らしかった。ありがとうございました!(とお礼を言いたい映画だったー!)

*1:どこかで翔さんがまさにこういう感想を作品を観た後に思った、とおっしゃっていた気がする

*2:なにを偉そうに!