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好きなアイドルについて。

どや顔せんせい!

神様のカルテ観てきたーすっきりしたー。続きで感想。ネタバレしてます!
(1の感想はこちら





1を見たときもものすごく思ったんだけど、テレビドラマでさらっと出来そうなことを、映画というつくりかたで贅沢にていねいに撮った作品だな、と改めて思いました。これはとってもいい意味で言ってます。淡々としている。でもそれこそが素晴らしい。

映画一本分、約二時間という時間で描かれているのは、前回と同じく、今はもうどうしようもない、変えていくには途方もない時間やお金や労力や体制が必要であるだろう医療現場。そこで働く一止は今回もやっぱり毎日毎日身を削るように働いている。それでもあふれかえるぐらいに患者はたくさんいて、理解ある上司もへとへとで、さらにその上には考え方が根本的に違う体制責任者がいる。

この映画を見ると、嗚咽とかではなくただ静かに勝手に涙が流れてくる。それはこの映画の見せたいところが、ていねいにひろっていくところが、なんでもない事だからだと思います。みんながどこかぐったりしていてそれでもひたすら順番を待っている夜間診療の廊下とか、覗くと妙に落ち着いて見えるナースステーションとか。そういう私も見たことのある空間に一止が現れて、前みたいにへとへとになるまで働いて働いて。環境は以前とぜんぜん変わってない、でも前作同様、映画が追いかけているのはそこではない。「それでもね、」ってところなんだな、っていうのと、その「それでもね、」を映画にしちゃってるのが素敵。

改革も医療事故も運命の出会いも奇跡の生還も、誰かが誰かを劇的に救う美談もない。特に今回はもう、大先生が…。体を酷使して、休みなんてあってないようなもので、ずっと医療の現場で働き続けた大先生が、とても難しい病気にかかってしまって。それでも仕事を優先させてしまって、もう動き出すのが遅すぎた状態からなんとか最善はつくすのだけれど亡くなってしまう。

大先生が亡くなってしまった流れは、美談には出来ない。このままいくと一止だってまったく同じ道を辿らないとも限らない。問題は山積みで、こんなせっぱつまった状態の日々を繰り返していくなんて無理に決まっている、と思う。進藤先生の夫婦の問題も、終着点までは見れなかったし。でもそこはいったん置いておいて、とにかく、「それでもね、」が胸に来る。今回は前作よりもちゃっかり大掛かりな(笑)ささやかな夜景が用意されて、素晴らしかった。あの、映像の美しさで感動するのも素敵だなー。
大先生が一止に「医療の低辺、でも希望はあるよ。君たちだよ」って言うんだけど、それって美談すぎると思うのですよ。だって進藤先生が言ってたのが正解だと私も思うもん。俺たちだって人間で、医者であるだけでその人間らしい生活を削らなければいけない、なんでだよ、って。
でも、大先生が、狭くて少し古臭い病院のベッドで、「栗ちゃん」って言うだけで、なんか泣けた。大先生も栗ちゃんも、進藤先生もきっと、「人間らしい生活を送りたい、でもどうしようもない、だって目の前には患者がいて、何かしてあげられることが俺にはあるのだから、しないではいられない」てとこに行きついているんじゃないだろうか。
「栗ちゃん」っていう呼び方、響き、声がね…なんか泣けた…
すっごい悲しいというよりも、しょうがない、どうしようもない、でも何かあったはずだって皆思っている、でもやっぱり、みたいな。言いたいことはたくさんあって、やるべきことも山積みで、しかもそれを内側の皆はぜんぶ分かってて、どうしよもない事だって事すら分かってる。でも、「それでもね、」だなぁ。こんな映画をあんなにしっかりていねいに、きちんと(当たり前だけど)映画レベルで作品にしている事がもう贅沢。

長野の素晴らしいやわらかい風景も素敵。春の薄い水色の空に、淡いピンク色の桜がうつりこんだ風景は「あぁ、神カルだー!」と思っちゃいました(笑)いやぁ、神カルには淡い水色とほんのり桜色が似合うね!衣装もかわいくて満足だよ。今の時代であんなお家もなかなかないだろうなっていうのもどこかファンタジーではあるんだけども。ほんとうにぜいたくな映画です。じっくりていねい。もうありがとう!って感じ。
ちょこちょこ挟まれるてけてけてん!て感じのお笑い部分も今回も満足です。ささやかな笑いをありがとう(笑)もーまじ一止はなんでこうも変人なんだろ?ナース主任が「なんであの変人にあんな素敵な奥さんがいるんだろ」とこぼしたけどまじ同意。


キャストのお話も。


まずはもう、櫻井翔さん!!!!われらが櫻井翔さんをあんなにも人間くさくわけわかんないポニョ男に撮ってくれてありがとう!!!(とても語弊がある)いやぜんぜんポニョってないんだけど、やっぱ普段の櫻井先輩と比べると一止は骨太で人間力がしぶとそうなところがいいわー。前作よりもぐぐぐ!と一止さんで(前作は映画館で一回見ただけなのにこの語り方ほんとごめんなさい)非常に楽しめました。年齢を重ねましたなぁ一止さん、と分かる見た目もグッジョブ!疲れてる感じ、ぼさぼさな感じ、イイヨイイヨ!はぁ、大満足。

一止の声は低めでぼんやりしてて、なのにどこか聞き心地がいい。私は櫻井さんのお声が個人的にとっても「タイプの声」なのでしあわせでした。CMでも切り取られていた「医者の話ではない、人間の話をしているのだ」という言葉と、それに続いた「私たちは医者の前に人間です、その人間が死んでいく場所が病院です」に、ものすごくぐっときた。一止だからこそのこの言葉の重み。医者にしか分からない葛藤の重さが…なんともいえない。

一番好きなのは、最後の最後に、あの美男子☆櫻井翔さんはどこにいったの?!と軽くビビるぐらいにくずれきったわなわな笑顔の一止(分娩室へかけこむとこ)です。すごい、なんともいえない表情で、もう暗闇の中で笑っちゃったよ!櫻井さんすばらしいです!!!
二番目に好きなのは、ナース主任に対してのドヤ発言な!今回は少な目でしたが「俺には奥さんがいるんだぞ!」なドヤ顔一止先生かわいいです。「進藤は妻のある身だ、そして俺も…」て何ドヤってんだよ!愛しいよバカ!



ハルさんは一止の夢の中ですら女神っていうか、一止が見ているハルさんはいつもあれぐらい光り輝いているんじゃないのか?という感想。あんないい女房がいるなんて…まじうらやましい!進藤先生にまるっと同意。まじどういうことなんだってばよ…
一止が病院でしょいこんできた色々な事を、顔を見て言葉を少し交わすだけで感じ取って、寄り添うよ、と表現してくれるハルさん。着物姿のハルさんの胸にしがみつくみたいにして息を吐く一止と、それを抱きしめるハルさんのシーンは、なんかこう、どきっとしました。なんであんなに前髪が似合うんですか。私と交換してください…かわいいなぁ…


進藤先生を藤原竜也さんにしたのは誰だー!菓子折りもってお礼にいくから!!!という気持ちで震えながら映像を見ていました。もうね、対比が素晴らしい。骨太でちょっとのったりしている一止と、進藤先生のスタイリッシュすぎる細身のシルエットがだな…!もうビジュアルだけでもこの二人はほんとうに素晴らしかった。藤原さんはマスク&オペ帽子で目しか見えてなくてもほんと美形だなー。白衣もまじスタイリッシュすぎてイケメンすぎて、そこに進藤先生としての雰囲気もリンクして素敵な人でした。藤原さんと絡むってだけですんごい楽しみにしてたんだけど、CMであったコーヒーぶっかけよりも、真っ白い雪の中、白い息を吐き出しながら会話をしている二人のシーンがもうよかった。私は雑誌もそうなんですが、インタビューとか映画の内容とかはもちろんだけれども「この映像がよすぎる、この映像だけでも映画化の価値は大いにある!!!」と感じる瞬間は大事だと思っていてですね。一作目だと紙ふぶきで学士さんを見送るとこで、今作では満点の星空なんですけど、それ以外にもちょくちょく「あぁこれはいい実写化…!」と思う場面が個人的にあって、今作でもあったので嬉しかった。つまりその中のひとつがこの二人のシーンなんですよね。表情、声、話し方、同じ白衣なのに違いすぎるシルエット、それがもういいんだよなー。


はぁ、とにかく満足です。ありがとう神カル!

それにしても、一人で見に行ってて、お腹すいてるんだけどお腹ならないかな…ってひやひやしながら見てたら、最後の最後に誕生日のデコレーションケーキが登場した瞬間に盛大に鳴った。どう考えても前後の人には聞こえるだろう大きさで鳴った。たべものが出てきた瞬間に鳴るなんて「おなかすいてるんだなぁ(にのさんボイス)」と思われただろうね…ま、まぁいい。